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排ガス処理装置とは?処理方式の違いや選び方、導入時のポイント

排ガス処理装置とは?アイキャッチ

工場の排ガス対策では、発生するガスの種類や濃度に応じて適切な処理方式を選ぶことが欠かせません。

排ガス処理装置とひとことで言っても、洗浄式・吸着式・蓄熱式・触媒酸化式などさまざまな処理方式があり、それぞれ得意とする排ガスが異なります。方式を誤れば、期待した処理性能が得られないだけでなく、定められた排出基準を満たせないおそれもあります。

この記事では、排ガス処理装置の役割や処理方式ごとの特徴、失敗しない選び方、導入時に押さえておきたいポイントまでわかりやすく紹介します。

排ガス処理装置とは?工場に欠かせない理由

まずは、排ガス処理装置がどのような設備なのかを確認しましょう。

排ガス処理装置の仕組み|有害物質を除去・低減する方法

排ガス処理装置とは、工場や化学プラントなどから排出されるガスに含まれる有害物質や臭気を除去し、基準を満たした状態で大気へ放出するための設備です。

排ガスには、酸性ガスやアルカリ性ガス、揮発性有機化合物(VOC)、悪臭成分などが含まれることがあります。これらをそのまま排出すると、周辺環境や近隣住民への影響だけでなく、法令違反につながるおそれがあります。

そのため、排ガスの性状に応じて、洗浄・吸着・燃焼などの処理方式を組み合わせ、有害成分を除去します。排ガス中の有害成分を除去・低減して適切に排出する、重要な役割を担う設備です。

 

排ガス処理装置に関係する法令と規制

排ガス処理装置は、環境対策だけでなく、法令を遵守するうえでも重要な設備です。

大気汚染防止法では、ばい煙発生施設に対して、国が定める排出基準の遵守が求められています。排出基準は、対象となる物質だけでなく、施設の種類や規模などによって異なります。また、地域によっては、都道府県が条例により国の基準より厳しい上乗せ排出基準を定めている場合もあります。

そのため、排ガス処理装置を導入する際は、国の法令だけでなく、地域の条例や規制についても確認が必要です。排出基準を満たすためにも、設備選定の段階から適用される法令や規制を踏まえて設計することが大切です。

排ガス処理装置の主な処理方式と特徴

排ガス処理装置にはさまざまな処理方式があり、排ガスの種類や濃度、温度によって適した方式は異なります。

ここでは、代表的な4つの処理方式の特徴や、適した用途、導入時の注意点を紹介します。

 

湿式スクラバー(洗浄式)の特徴

湿式スクラバー(洗浄式)は、排ガスを洗浄液と接触させ、有害物質を吸収・中和して除去する処理方式です。

酸性ガスやアルカリ性ガスなど、水に溶けやすい成分の処理に適しています。ガスの性状に応じて液分散型・ガス分散型など適した方式を選定し、入口濃度や排出基準に合わせて装置を設計することで、高い除去性能が得られます。

化学工場をはじめ、酸・アルカリ性ガスや水溶性の臭気成分などが発生する工程の排ガス処理に用いられます。

また、スクラバー専用の廃液処理設備を組み合わせることも可能です。

 

吸着式の特徴

吸着式は、活性炭などの吸着剤を用いて、排ガス中の有害物質や臭気成分を除去する処理方式です。

ガスの性状に応じて適切な吸着剤を選定でき、VOCや臭気を含む排ガスの処理に用いられます。塗装作業や有機溶剤を取り扱う工程、化学工場などで発生するガスの処理も用途の一つです。

また、ガス中に粉塵やミスト、タールなどが含まれる場合は、プレダスタで前処理を行うことで吸着剤を保護し、安定した処理につなげます。一方、高温の排ガスには適さないため、排ガスの温度を確認したうえで適用を検討する必要があります。

 

蓄熱式の特徴

蓄熱式は、排ガスを高温で燃焼させ、有害成分を酸化分解する処理方式です。

VOCなどの可燃性成分を含む排ガスの処理に用いられ、特に自燃性のあるガスに適しています。VOCの酸化によって発生する熱を利用できるため、自燃条件を満たす場合は補助燃料を抑えた運転が可能です。

一方、VOC濃度が高すぎると爆発の危険があるため、爆発下限界などを考慮して適切に濃度を管理する必要があります。

有機溶剤を取り扱う工程など、VOCを含む排ガスが発生する現場で用いられます。導入時には、処理するガスの性状や濃度、運転条件などを踏まえて、適切な設備仕様を選定する必要があります。

 

触媒酸化式の特徴

触媒酸化式は、触媒の働きを利用して、排ガス中の有害成分を比較的低い温度で酸化分解する処理方式です。

低温で処理できるため補助燃料を抑えやすく、VOCなどを含む排ガスを処理しながら、燃料消費を抑えたい現場に適しています。

また、触媒は比較的寿命が長く、劣化した場合でも再生できる場合があります。ガスの発熱量が大きい場合には、熱を回収して有効活用することも可能です。

塗装作業や有機溶剤を取り扱う工程など、VOCを含む排ガスの処理に用いられます。

洗浄式・吸着式・蓄熱式・触媒酸化式など、排ガスの性状に合わせた処理装置について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

化学系ガス処理装置の詳細はこちら

排ガス処理装置選びで失敗しない3つのポイント

排ガス処理装置は、価格や設備の大きさだけで選ぶものではありません。排ガスの性状や現場の条件によって適した処理方式は異なるため、事前に確認すべきポイントがあります。

ここでは、排ガス処理装置を選定する際に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

 

①排ガスの成分・温度・風量を確認する

排ガス処理装置を選ぶうえで、まず把握しておきたいのが排ガスの成分・温度・風量です。

どのような物質が含まれているのか、どれくらいの温度で排出されるのか、どれだけの風量が必要なのかによって、適した処理方式や装置の能力は大きく変わります。

例えば、酸性ガスとVOCでは適した処理方式が異なり、高温ガスでは使用できる設備も限られます。

十分な調査を行わずに装置を選定すると、期待した処理性能が得られないだけでなく、設備の能力不足や過剰設備につながる可能性があります。

 

②排ガスの種類に適した処理方式を選ぶ

排ガスの条件を把握したら、それに適した処理方式を選定します。

例えば、

  • 酸性ガス・アルカリ性ガス:湿式スクラバー(洗浄式)
  • VOCや臭気:吸着式・蓄熱式・触媒酸化式

など、排ガスの種類によって適した方式は異なります。

ただし、実際の工場では複数の有害物質が混在しているケースも少なくありません。そのため、一つの方式だけでは対応できず、複数の処理方式を組み合わせたシステムが必要になることもあります。

方式選定では、目の前のガスだけではなく、排出基準や将来的な設備更新も見据えて検討することが大切です。

 

③粉塵とガスが混在する現場はシステム全体で考える

工場では、排ガスだけでなく粉塵も同時に発生する場合があります。粉塵などの固体粒子は集塵装置、ガス状の有害物質や臭気は排ガス処理装置が主な処理対象です。

例えば、乾燥炉や塗装工程、化学設備などでは、粉塵・ミスト・臭気・VOCなどが混在するケースがあります。このような現場では、排ガス処理装置だけで対応するのではなく、発生する物質やその性状に応じて集塵装置などを組み合わせる必要があります。

そのため、装置を個別に選ぶのではなく、フード・ダクト・集塵装置・排ガス処理装置までを一つのシステムとして検討することが大切です。現場の条件に合わせて設備全体を設計することで、必要な処理性能を確保しながら、運転コストやメンテナンス性も考慮した設備計画につながります。

集塵装置の仕組みや種類について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

集塵機とは?集塵装置との違い・仕組み・種類をわかりやすく解説

導入前に知っておきたい排ガス処理装置の注意点

排ガス処理装置は、適切な処理方式を選ぶだけでは十分ではありません。設置環境やランニングコスト、導入後のメンテナンスまで見据えて計画することで、長期間にわたり安定した性能を維持できます。

ここでは、導入前に確認しておきたい3つのポイントを紹介します。

 

設置スペースとメンテナンス動線を確保する

排ガス処理装置の導入で意外と多いのが、「設置はできたものの、点検やメンテナンスを行うスペースが確保できない」というケースです。

限られた工場スペースに後付けする場合は、本体が設置できるかだけでなく、洗浄液や吸着剤の交換、点検作業を行うための作業スペースや動線まで考慮する必要があります。

導入前に設置レイアウトを十分に検討しておくことで、保守性が向上し、設備を長く安心して運用できます。

 

見落としがちなランニングコストと廃液・排熱

排ガス処理装置は、導入費用だけで判断すると、運用開始後に想定以上のコストがかかることがあります。

例えば、洗浄式では洗浄液の補充や廃液処理、吸着式では吸着剤の交換、蓄熱式・触媒酸化式では燃料費や熱回収設備の維持費など、処理方式によって必要となる費用は異なります。

また、排水処理設備や排熱利用設備など、周辺設備が必要になる場合もあります。導入費だけでなく、運転費や維持管理費を含めたトータルコストで比較することが大切です。

 

導入後の性能を維持するための点検・メンテナンス

排ガス処理装置は、導入して終わりではありません。安定した処理性能を維持するためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。

洗浄液や吸着剤、触媒などは使用を続けるうちに性能が低下するため、適切なタイミングで点検や交換を行う必要があります。処理能力が低下したまま運転を続けると、排出基準を満たせなくなるおそれもあります。

そのため、装置を選定する際は、性能や価格だけでなく、定期点検や部品交換などのアフターサポート体制も確認しておくと安心です。

まとめ|排ガス処理装置は現場に合わせて選ぼう

排ガス処理装置は、工場から排出される有害物質や臭気を適切に処理し、環境保全と法令遵守を支える重要な設備です。

導入を成功させるためには、排ガスの成分・温度・風量を正しく把握し、それぞれの現場に適した処理方式を選定することが欠かせません。また、粉塵が同時に発生する現場では、集塵装置を含めたシステム全体で検討することが重要です。

集塵装置株式会社では、1959年の創業以来、化学系ガス処理装置をはじめ、スクラバーや脱臭装置、集塵システムの計画・設計・施工・アフターサービスまで一貫して対応しています。現場の状況や排ガスの性状を確認したうえで、最適な設備をご提案しますので、排ガス処理でお困りの際はお気軽にご相談ください。

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